院長ブログ
食事療法の最近のブログ記事
本当にあった食事療法の話 ⑪
2011/01/23(Sun)16:18
皆様こんにちは。
さて長らく続けてきました「本当にあった食事療法の話」
ついに最終回です。
還暦を過ぎた禅僧の、若き主治医だった私の父も
禅僧より一足早く亡くなりました。
しかし、お互いその人生の最終段階で
久しぶりの再会を果たしています。
たまたま所用で福井県に行った父が
ふと気が向いて永平寺まで足を伸ばしたのです。
父は永平寺の一番奥にある貫首の部屋
「不老閣(ふろうかく)」に通されました。
その模様が機関誌に掲載されています。
数年後父が亡くなった時、いの一番に届いた弔電は
宮崎奕保禅師からのものでした。
不思議な接点を持つ二人の関係は
来世でも続いていくように思われます。
あきらめないがん治療専門
心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
カテゴリー: 食事療法
本当にあった食事療法の話 ⑩
2011/01/18(Tue)10:00
皆様こんにちは。
さて、食事療法の結論を述べたいと思います。
成人してからの節制した食習慣は長寿につながります。
『伝統的な日本食』が世界的に見ても大変優れています。
青い鳥はたいがい身近にいるもので、
本当に、これに尽きると思うのです。
ただ、極端な低蛋白食や低脂肪食を続けると
免疫力の低下につながっていくため
病気で体力が低下している時期は
まず『食べる』事を何より優先すべきです。
肉や、蛋白を食べてこそエネルギーも湧くというものです。
特にがんの闘病時、
苦痛が伴うような節制をいきなり始めるのは
全くナンセンスな話です。
何故か、巷ではがんになってからの
厳しい食事療法の本があふれていますが
実際には、それで体調を崩す人の方が多いのですから。
自分自身で決意して行うのなら、あえて止めはしません。
しかし無責任な一般書籍に影響された御家族が
極端な食生活を闘病者に無理強いする事は
あってはなりません。
これは虐待と同じだからです。
一方、まともな本もたまには出版されています。
例えば『「がん」になってからの食事療法』(法研出版)という本です。
(米国対がん協会著・坪野吉孝【東北大学医学部助教授】訳、解説)
この本は、一般書店で売られているがんの食事療法に関する書籍の中では
唯一、膨大な手間と労力をかけて真実を検証しています。
過去に国際的に発表された何千もの論文を調べ直して
その信ぴょう性を判定しているのです。
やはりアメリカは、何でもやる事がダイナミックですね。
この本を読むと、画一的な食事療法に賭けようという意気込みの人は
がっかりするかもしれません。
「一面ではこうだが」「またある一面はこの可能性がある」
という記述になっているからです。
しかし、がんを患った時
どのような食生活をするべきかを医師に問うと
大体、「何でも好きなものを食べて栄養をつけなさい。」
という答えが返ってくる理由が、これを読むと分かると思います。
がんになったら「食を維持する」、すなわち『食べる』事が最も重要です。
美味しく食べられるようにするのが治療のキーポイントとすら言えるのです。
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田中陽一郎






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本当にあった食事療法の話 ⑨
2010/06/29(Tue)16:28
皆様こんにちは。
さて、カロリー制限が長寿をもたらすことは間違いありません。
しかしそれも柔軟に時と場合を選ばなければ
逆効果にさえなりますから注意が必要です。
例えば、僧侶は菜食で粗食のため皆が長寿だったかというと
実際にはそうでもありません。
低栄養の免疫力不足のため
若くして結核で命を落とす者が以前は多かったのです。
結核の罹患率は免疫力低下ととても高い相関があります。
非常時に『省エネモード』では勝てないという事です。
では、癌の場合はどうでしょうか。
確かに、がん細胞は燃費の悪い暴走車のようなもので
大量の『エネルギー』すなわち糖分を消費しながら
増大します。
ということはエネルギー源の糖分を食べなければ
がんは縮んでいくような気もします。
しかし、ここでよ~く考えて下さい。
体力が衰え、食事ができなくなったからと言って
がんの増大がストップしているでしょうか?
いいえ、今度は身体の脂肪、筋肉を糖分に変えて消費します。。。
だから、がんになると痩せてしまうことが多いのです。
結果、食べないとどんどん痩せて体力が落ち、デメリットが大きくなります。
では、食事療法の結論を次回に述べます。(つづく)
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本当にあった食事療法の話 ⑧
2010/06/20(Sun)16:00
皆様こんにちは。
さて、『泣く子も黙る』と形容される程
厳しい修行で知られる永平寺。
日々の生活はとても規則正しく、
食事もいわゆる『精進料理』で菜食です。
自然の恵みを頂くわけですが、
『粗食』と言っても良い
低カロリーの食事です。
医学的見解では『抗加齢に利する食事』というのは
菜食が良いか肉食が良いかの話よりも
一言でいえば『低カロリー食』です。
どうやら低カロリー食で長寿になるようだ、
という事は昔から経験で語られていました。
このような話があります。
戦争中、ドイツで毛皮のコート用にミンクを飼育していた業者が
エサの供給を維持できなくなり、会社をたたみました。
飼われていたミンク達は、かわいそうに
少量のエサとともに放置。
戦争がやっと終わり
久しぶりに元社長が恐る恐る動物舎を見に行きました。
ミンク達はみな餓死してしまったにちがいないと
覚悟をしていました。
が、何と・・・ミンク達は痩せてはいるものの
ほとんどが元気。
その後は大切に飼われ、皆とても長生きしたということです。
たまたまだったのでしょうか?
いえ、近年少食と長寿の関係は医学的に証明されつつあります。
まずショウジョウバエで実験が行われ、
ネズミやサルでも確認されました。
ヒトでも同様であろうと思われます。
少食を日常的に続けると老化が遅くなるのです。
端的に言えば、身体が『省エネモード』に入るのだと思います。
具体的には、カロリー制限で「サーチュイン」と呼ばれる遺伝子群が活性化し
DNAの老化防止に関与する蛋白が造られる事が分かっています。
まだその全容は解明されていません。
生命に関する多くの謎が残されています。
ただ、日々の生活習慣が身体を創っていくわけですから
宮崎禅師の長寿には「宗教上の粗食主義」が少なからず
影響している事でしょう。
しかし、カロリー制限には落とし穴もあります。
それについては次回。(つづく)
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本当にあった食事療法の話 ⑦
2010/06/02(Wed)10:00
皆様こんにちは。
お坊さんは、
苦労して30 歳でタバコを止めた話など
説法中気さくに述べられるような方なので
闘病中の食事内容も、特に『マル秘』というわけでは
ありません。
しかし父は、私が医師になってから
何の折か『食事バランスと免疫力』という話になった時
家でこの経験談をしてくれたのでした。
私は、入院闘病中のある期間、郷に従い肉類を食したとて
お坊さんの人生全体の価値や凄さ、立派さ、仏の道の崇高さには
これっぽっちも影響を与えないと思います。
むしろ度胸、柔軟さ、真摯で謙虚な心があったからこそだと
その後の過程を見ても分かるわけです。
誠の禅とは決して『かたくな』なものではなく
このように『ナチュラルでニュートラル』なものなのだと
認識させられます。
お坊さんの晩年の映像を観ますと
単純な言葉の一つ一つに
不思議と深みや重みが備わり伝わってきます。
削ぎ落とされてはいるけれど、
しっかり実感がこもっているからだと思われます。
百聞は一見にしかず。
下に動画を添付したいと思います。
アナウンスで享年106歳とありますが
『数え』では108歳になります。
(つづく)
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本当にあった食事療法の話 ⑥
2010/05/24(Mon)23:00
皆様こんにちは。
さて、このお話について
様々な側面から少し
解説をしておきたいと思います。
このお坊さんは知る人ぞ知る高僧となられましたから
晩年のお姿や、その生涯の概略については
御存知の方も多いのではないかと思います。
百を超える高齢と、清廉潔白な人となりが注目され
本やテレビで特集が組まれもしました。
その際、外せないのは
やはり人生の節目となった大病の経験です。
そこでは必ず、主治医に怒られたシーンが出てきます。
実はこの物語に出てくる主治医は
若かりし頃の私の父なのです。
父は、取材をもとに伝記として編纂された書物を読み
『大病が全部坐禅で治ったことになっとるなぁ。』
と言いながら微笑んでいたものです。
父とお坊さんは三年間の長きにわたり
共に病と闘いましたし
お互い漢詩の素養に長けており
歳の差を越え
気脈通ずるものがあったようです。
退院後しばらくして、お坊さんは北海道のお寺に行かれましたが
季節の挨拶等で交流が続いていました。
(つづく)
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本当にあった食事療法の話 ⑤
2010/05/15(Sat)23:01
皆様こんにちは。
お坊さんはついに
治癒退院することができました。
お寺での日々の修行にもどり
食事も元通り、質素な菜食となりました。
時折思い出すのは幼少の頃
仏の道の手本を示してくれた
親代わりの老師の事でした。
えらい人やった。
老師の温かい亡骸に触れたとき
そう心に沁みた。
口だけやなく生涯実行しとった。
できたらあんな坊さんになりたい。
真似をせないかん。
一日の真似ならそれだけや。
ところが一生真似しておったら
真似がほんまもんや。
そして10年が過ぎました。
いつしか20年が過ぎました。
ついに30年が過ぎました。
ふと気がつくと、お坊さんは100歳を越え
長い宗門の歴史上最高齢の
大本山の貫首(かんじゅ)となっていました。
生き仏のような無私のたたずまいは
『九皐の鳴鶴(きゅうこうのめいかく)』の如くで
全国から集まる若い僧の手本となるに十分でした。
奇しくも煩悩の数と言われる108歳で
弟子に囲まれ、老師は静かに
その生涯を閉じたのでした。
物語はこれでおしまいです。
この話には医学的にもいくつかポイントがありますので
次回、若干の解説を加えたいと思います。
(つづく)
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本当にあった食事療法の話 ④
2010/05/14(Fri)21:09
皆様こんにちは。
幾日経ったことでしょう。
お坊さんは気付きました。
いつの間にか、身体から病が遠ざかっている事に。
そしてまた気付きました。
時が来れば死ぬるも良し、は決して
悟りではなかった。
真の悟りとは
平気で良い時には、平気で生きる事。
自然は太古からそう営んでいる。
素直に見習おう。
日々、新たに生きる。
それが天地自然の理であるのなら。
足掛け三年にも及んだ入院生活が
ようやく終わろうとしていました。
(つづく)
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本当にあった食事療法の話 ③
2010/05/13(Thu)17:00
皆様こんにちは。
さて、翌日。
食事が用意されました。
肉類も入っています。
食欲さえありませんでした。
命の炎は弱々しく、今にも消えてしまいそうでした。
『どうやら、そろそろあの世に行くらしい。』
何と情けなく、辛い事か。
生きるとは何と難しい事なのか。
窓の外では木の葉が風にゆれている。
このそよ風にさえ吹き消されるであろう我が命のはかなさ。
生きることは、生かされること。
生かされるとは、生きること。
お坊さんは悟り、覚悟を決めました。
手を合わせ、肉を一口ほお張り
そしてベッドで無心に坐禅を組みました。
座れるのが不思議なくらいでした。
翌朝、肉類も含め
出された食事を一心に全て食べました。
いつものように坐禅を組み目を閉じました。
座っていると、薄くゆらいでいた命の炎が
一呼吸一呼吸ごとに
しっかりとした色に変わって行く
そんな不思議な映像が浮かんでくるのでした。
次の日も、その次の日も
お坊さんは出された食事を素直に食べ
坐禅を組みました。
あらゆる自然のエネルギーが
徐々に身体に沁み渡ってくるようでした。
次の日も、次の日も。
次の日も、次の日も。
(つづく)
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本当にあった食事療法の話 ②
2010/05/12(Wed)12:00
皆様こんにちは。
お坊さんは何と、
『粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)』でした。
粟粒結核とは、大量の結核菌が
血液にも流れ込んでいる状態で
たとえ現代最新の薬を使おうとも
まさに死に至る病です。
はたして、病状はいかなる治療にも抵抗し
悪くなるばかりでした。
主治医は、ある問題に気付いていました。
お坊さんは食事の『肉類』を全て残していたのです。
仏門には『殺生をしない』という意味で
肉食を避けるという教えがあります。
主治医はお坊さんに言いました。
『あなたは大病を患っています。
ここはお寺ではなく、身体を治すための病院です。
このまま栄養をつけなければ、
あなたは死んでしまうでしょう。
お肉もしっかり食べて下さい。
どうか自分の命を粗末にしないで下さい。』
つらい身体、かすむ意識の中で
お坊さんは若い医師の説教を聴きました。
(つづく)
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