院長ブログ
抗癌剤の最近のブログ記事
安心の低用量抗がん剤治療
2011/05/19(Thu)00:25
皆様こんにちは。
さて、本日は 『低用量抗がん剤』 について
少しお話したいと思います。
『がん休眠療法』 とも言われます。
厳密には、この両者の意味は違います。
当院での治療の主旨は
実は後者に近いものです。
安全と言えるならば
低用量でなくても良いと思います。
抗がん剤はお酒と同じで、
血中濃度の上がり方が
個人個人の体質によって変わってきます。
そこで、まずは
その人にとっての安全性を確かめた上で
投与していきましょう、という事なのです。
個人でまず、
あらかじめ Phase Ⅰの臨床試験を
行うようなものです。
実際これがないと
下戸なのにお酒を一気飲みさせられるような
事態が起こるわけです。
逆に、副作用はないけれども
思うような効果が出ていない人は
血中濃度が足りていない可能性を考え、
長期的に最もメリットが得られるよう
むしろ量を増やす必要があるかもしれません。
しかし当院では、まずは サーモトロンRF-8 で
抗がん剤効力の底上げを行います。
ジェムザールやTS-1 も、個人個人で
その影響が大幅に違うことが分かっていますが
サーモトロンRF-8 による温熱治療にて
副作用を増やす事なく効果を底上げする事が
できます。
おそらく今後、
体質や血中濃度の測定がしっかりできるようになれば
世界的な潮流として
さらにテーラーメイド化が進むと思われます。
あきらめないがん治療専門
心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
カテゴリー: 抗癌剤
抗がん剤臨床試験の狭き門 ③
2011/05/18(Wed)06:00
皆様こんにちは。
では、もう少し具体的にみていきましょう。
臨床試験の PhaseⅠでは、『安全性』 を確認します。
一つの薬のつき、15名~30名を集めるのですが
3人1組となって同じ量の試験薬を服用します。
少しずつ服用量を上げていき、
3人のうち2人に続けにくい副作用が出たら中止です。
何組ものデータがあればそれだけ多くの
裏付けが取れるという事です。
このように PhaseⅠでは薬の毒性が出てくる
だいたいの量が判明しますから
ある程度安全と言える量、すなわち
『推奨用量』 を決める事ができます。
そして、次の Phase Ⅱ 試験は
この推奨用量をもとに行われる事になります。
ちなみに、あまりにも毒性の個人差が激しかったり
過去の標準薬と比べて
安全性に不安ありと判断されたりで、
PhaseⅠ ではおよそ半分のお薬候補が脱落します。
<つづく>
あきらめないがん治療専門
心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
カテゴリー: 抗癌剤
抗がん剤臨床試験の狭き門 ②
2011/05/17(Tue)00:09
皆様こんにちは。
さて、PhaseⅠに参加する物質のうち
この3段階のハードルを越え
最後の PhaseⅢまで見事に突破する確率は
抗がん剤の場合、わずか5%です。
すなわち、
まず何千何万という中から必死で探し
基礎実験で良いデータが出た有望な物質を
たとえ一度に 20個 エントリーしたとして
日の目を見て製品になるのはたった1個 。
19個 の苦労は水の泡なのです。
一般的なお薬の場合、
モノになる確率は何とこの倍の
約10%もあるのですから、
抗がん剤 の開発は製薬会社にとって
ハズレも大きい、リスクの高い事業だと
いえます。
<つづく>
あきらめないがん治療専門
心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
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抗がん剤臨床試験の狭き門 ①
2011/05/16(Mon)06:11
皆様こんにちは。
世界中の植物やめずらしい海洋の生物など
ありとあらゆるものが常に採取され
薬の候補として何千、何万と調べられています。
このうち、
試験管内の細胞レベルやマウスなど
一定の基礎実験データの集積を経て、
やっと新しいお薬の候補として
臨床試験に上がってきます。
臨床試験とは認可前の薬の効果を
『人』 で確かめる試験の事です。
臨床試験には3段階もあり、それぞれ
PhaseⅠ、PhaseⅡ、PhaseⅢ と
呼ばれています。
<つづく>
あきらめないがん治療専門
心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
カテゴリー: 抗癌剤
抗がん剤について ≪ドラッグ・ラグ②≫
2010/04/29(Thu)10:00
皆様こんにちは。
さて、日本におけるドラッグラグは
過去確かにかなり遅く、問題でした。
1990年代はだいたい、諸外国より5年程遅れて
承認されていました。
ただ、だからと言って日本の治療成績が悪かった訳ではなく
むしろ諸外国よりも突出して良いものでした。
日本は手術などの医療技術がとても高いのと
だれもが簡単に医療機関を受診できるシステムが大変に優れていて
早期発見、早期治療ができていたからです。
昨今の医療費抑制政策で医療の荒廃がもう少し進むと
日本の良いシステムが崩れ、二度ともとに戻らなくなります。
これは極めて由々しきことです。
さておき、2000年代に入ってドラッグラグは
約3年遅れに縮まりました。
最近は『国際共同治験』が行われるようになり
2008年あたりから日本も参加しています。
よって、今後ドラッグラグはほとんどなくなり
あっても1年くらいになると予想されています。
これから次々と「分子標的薬」と呼ばれる
免疫力を利用した身体に優しい
新種の抗癌剤が出てきます。
やはり、有用な武器の選択肢は
多いほど良いと思います。
あきらめない癌治療専門:心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
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抗がん剤について ≪ドラッグ・ラグ①≫
2010/04/28(Wed)10:00
皆様こんにちは。
さて、『ドラッグラグ』という言葉を
聞いた事がある方も多いと思います。
海外ではとっくに承認され
既に使用されている有用な「お薬」が
日本ではなかなか認可されない事、すなわち
『新薬使用における海外諸国との時間差』
の事を指します。
主に抗がん剤です。
今まさにその薬が必要な人にとっては
その時間差が「余命」にも関わってくるので深刻です。
日本はあまりに遅すぎるので
国民から批判が起こっている、と報道されています。
これは、例えばアメリカで承認されていても
日本人で使用した場合の副作用が違う場合がありますので
日本国内で新たに臨床試験を行わないといけません。
これを 『治験』と言います。
よって、治験をまた一から行わなければならず、
そして保守的な国民性で治験参加者は容易に集められず、
さらに御役所仕事が丁寧すぎてなかなか前進せず、
といった三重苦で『ドラッグラグ』につながっていたわけです。
しかし、昨今ではかなり改善されてきました。
今後もっと改善されるでしょう。
明日は、最近の日本『ドラッグラグ』事情の詳細について
お話したいと思います。
あきらめないがん治療専門:心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
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