院長ブログ
豆知識の最近のブログ記事
抗がん剤の口内炎
2009/07/27(Mon)16:37
皆様こんにちは。
抗がん剤は、胃腸など消化器系統の粘膜を
荒らすことがよくあります。
なかでも「口内炎」ができると
食事時に沁みて痛く
そのために食欲が落ちてしまいます。
しかし、なかなか口内炎に対する有効な薬がないので
やっかいな副作用と言えます。
これに対し、最近良い報告がありました。
「ムコスタ(一般名:レバミピド)」という胃薬が
抗がん剤による口内炎に効くというのです。
この7月に開催された日本乳癌学会で
複数の施設が同様の発表をし
注目されています。
「ムコスタ」は大塚製薬が出している胃薬で
かなり前から内科などでよく
使用されている薬です。
5FUとエピルビシン、およびシクロフォスファミドという
乳癌以外にもよく使用される抗がん剤を重ねた
結構強力な治療において
ムコスタの効果が確かめられました。
まず、一つ目の施設の結果です。
この強力な抗がん剤治療を受けた61人を解析しました。
すると、ムコスタを内服していなかった49人のうち
23人(46.9%)に口内炎が発症していました。
また、口内炎をよく起こすため
治療前からムコスタを予防的に
内服してもらった人が4人いるのですが
その結果、1人しか口内炎を起こしませんでした。
また、治療途中で口内炎を起こしたため
次のクールからムコスタを内服してもらった8人では
4人の症状が軽減しました。
次に、二つ目の施設の結果です。
この施設は、同様の抗がん剤治療を行った91人を解析しました。
まず、この抗がん剤で43人(47.3%)に口内炎が発症しましたが
この抗がん剤治療開始後からムコスタを内服した28人のうち
25人(89.3%)もの口内炎が軽くなったというのです。
今まで、氷による口腔内の冷却で予防したり
うがい薬を用いたりしても
なかなか抗がん剤による口内炎を軽くするのには力不足で
良い治療薬はない、と考えられていましたが
案外、身近な薬が意外な効果を発揮する場合もあるということです。
安価な薬ですし、すぐ処方してもらえると思います。
「知っている」だけで
口内炎に悩まなくてすむ可能性があるわけで
また非常に安全な薬ですから
副作用の口内炎に難渋しておられる方は
試してみる価値があると思います。
がん治療専門:心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
カテゴリー: 豆知識
腫瘍マーカーに惑わされない
2009/07/18(Sat)19:01
皆様こんにちは。
さて、2009年の米国臨床腫瘍学会で
興味深い研究成果が発表されました。
卵巣癌の治療をしている方を
多人数集めて解析した結果です。
卵巣癌の転移は
CTなどの画像で分かる程大きくなる4~5ヶ月も前に、
採血で「CA125」という『腫瘍マーカー』が上昇します。
そのため、「CA125」は再発の指標として
また、早期に抗がん剤を開始するための
タイミングをはかる良い指標として
使用されてきました。
実際、日本産婦人科腫瘍学会による
「卵巣がん治療ガイドライン2007」では、
CA125を頻回に測定するよう推奨されています。
この研究はロシアで行われたのですが
初期治療が終わった進行卵巣がん患者1442人を
「CA125」が上昇したら
ただちに抗がん剤を開始したグループと、
「CA125」の値を知らされず
CTで見えるほどに大きくなってから
抗がん剤を開始したグループとに分けて
解析しました。
その結果、何と生存年数に
差は見られなかったのです。
むしろ、早く抗がん剤を投与されることで、
なかなか治らない手のしびれなど
副作用を感じる期間が長くなってしまいました。
早く抗がん剤を投与したために、
ただQOL(生活の質)が落ちただけという結果です。
これは何を示唆しているかというと
「完治」を目指す治療は無理な状態で、
「がんとの共存・できるだけの延命」を目指す治療をする場合は
毒である抗がん剤を何もあわてて投与する必要は
ないかもしれない、という事です。
もちろん、ゆっくり待ちすぎて
抗がん剤をする体力的なタイミングを逸することは
本末転倒です。
しかし、やたら焦って抗がん剤をしても
良い結果にはどうやらならないようです。
ただ、これは「卵巣がん」の結果であり
他のがんでも同じとは限らないのですが、
すでに転移をした癌の場合
様々ながんで同じような傾向を感じることがあります。
腫瘍マーカーの値に惑わされて
一喜一憂しない方が良い、
というこの結果は
今までのいわゆる「常識」をくつがえし
治療のあり方に一石を投じるものだと思います。
がん治療専門:心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
カテゴリー: 豆知識
CTによる肺癌検診の「偽陽性」
2009/07/14(Tue)22:51
皆様こんにちは。
「がん」であると確定するには、病理検査が要ります。
「がん」と思われる部位から少しだけ細胞を取ってきて
顕微鏡でその顔つきを見るのです。
胸のレントゲン写真やCTの写真だけでは
「まず、がんであろう」とか、逆に
「がんの可能性はほとんどない」とは言えても
建前として、医学的には100%の『断定』はできません。
病理検査で小さな細胞の顔を実際に観察して初めて
『診断確定』となります。
「肺がん」はレントゲンやCTだけでは
本当に「がん」なのか
はたまた「がんのそっくりさん」なのか
判別しにくい臓器の一つです。
よって、ちょっとでもあやしそうなものは
念のため全て精密検査行きとなって、
結果が出るまで
かなり不安な日々を過ごす人々が多くなります。
最初の不安通り、本当に「がん」ならば
『検査結果は陽性。』と言います。
一方、最終的には「がん」ではなかった場合、
『検査結果はただの偽陽性(ぎようせい)だったわ。
よかった、よかった。』
という使い方をします。
最近のCTは性能が良く、ちょっとした肺の変化も
映し出してしまうのですが
さすがに1つの細胞の顔つきまでは分からないため
「偽陽性」とされてしまう人は増えております。
「これ、あやしいな。」と言われても肺CTの場合は
実は20%~30%は偽陽性なのです。
これは55歳~74歳の喫煙者を
3000人以上解析した結果発表されたものです。
CTによる肺がん検診は、有用な面も多々ありますが
今のところこのようなものである、という心構えで
比較的おおらかに受けて頂いた方が良い検診だと思います。
がん治療専門:心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
カテゴリー: 豆知識
タバコとがん(3)・ちょっとホッとする話
2009/07/09(Thu)18:38
皆様こんにちは。
タバコとがんの話、第3回目。
今日はちょっとホッとする内容を
お送りしたいと思います。
「禁煙なんか今からしてももう遅いのだ。
もう遅いのなら、ワシは吸って吸って吸いまくるのだ。
これでいいのだ。」
と何だか自暴自棄になっておられる方はいませんか?
いえ、遅くなんかないのです。
禁煙すると・・・
1分後:肺で、タバコのダメージから
回復しようとする機能が働き始めます。
20分後:血液と脈が正常付近に復帰し
手の体温も正常まで上昇します。
8時間後:血中の一酸化炭素レベルが正常に戻り
運動能力が改善し始めます。
1日後:心臓発作の可能性が少なくなります。
2日後:味やにおいの感覚が復活し始めます。
3日後:ニコチンが身体から完全に抜けます。
気管支の収縮がとれ、呼吸が楽になります。
2~3週間後:身体全体の血液の流れが改善し
歩行が楽になります。肺活量が30%回復します。
1~9ヶ月後:咳や息切れが改善しスタミナが戻ります。
気道感染が起こりにくくなります。
1年後:狭心症や心筋梗塞になる危険度が2分の1に減ります。
5年後:肺がん、脳卒中の死亡率が2分の1に減ります。
喉頭がん、食道がんのリスクが半減します。
10年後:肺がん等の病気にかかる危険が
非喫煙者のレベルまで近づきます。
このように、人の身体はすごい自己回復能力を持っています。
禁煙して1分後にはもう身体に良いことが始まります。
1日後にはもう心臓発作の可能性が減ります。
1ヵ月で肺機能は大幅に改善します。
がんのリスクは10年間どんどん減り続けます。
今から禁煙しても、遅くないのです。
がん治療専門:心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
カテゴリー: 豆知識
タバコとがん(2)・再び恐ろしい話
2009/07/08(Wed)23:48
皆様こんにちは。
タバコとがんの恐ろしい話は
誠に遺憾ながら、今日も続きます。
よく「受動喫煙の害」を
耳にすることがあると思います。
タバコを吸った煙より
副流煙の方が毒性が強い、
という話です。
しかし、「周りの空気で薄まるんだし
実際そんなに害があるの?」と
タカをくくっている方も多いでしょう。
しかし・・・しっかり数字が出ております。
夫が非喫煙の場合と比べて、
夫の喫煙が一日20本未満でも
妻が肺がんで死ぬ確率が1.5倍になり
夫の喫煙が一日20本以上なら
妻が肺がんで死ぬ確率が1.9倍にもなるのです。
総計すると、何と女性の肺がんの実に4分の1が
受動喫煙が原因です。
例えばアスベストは確かに怖いですが
特殊な環境で暴露されるため、
アスベストが原因の肺がんは
数としては非常に少ないわけです。
それに比べ、タバコはまだまだ身近であり
多数の肺がんの原因となっています。
最近、飲み薬の禁煙治療薬が
日本でも認可されました。
貼り薬の禁煙パッチより
かなり高い禁煙成功率があります。
禁煙したいのにタバコを手放せない方は
一度試してみる価値はあると思います。
がん治療専門:心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
カテゴリー: 豆知識
タバコとがん(1)・恐ろしい話
2009/07/07(Tue)17:16
皆様こんにちは。
さて、世界中でジャンボジェット機が
毎日33機も落ち続けていたら
あなたは飛行機を使おうと思いますか?
ふつうは思いません。怖すぎます。
年間で600万人が死亡する計算です。
でもこれ、身近にある嗜好品で
死んでいる人の数なんです。
そう、『タバコ』です。
全体のガンの、3分の1がタバコによって発症します。
喉頭ガンの96%はタバコが原因です。
肺ガンの半分はタバコが原因です。
膀胱ガンの3分の1はタバコが原因です。
膵臓ガンの3分の1はタバコが原因です。
タバコでなぜ膀胱ガン?と思われた方もいるでしょう。
実はタバコの代謝物が膀胱に貯まるのです。
もちろん、強力な発癌物質です。
タバコでなぜ膵臓ガン?と思われた方もいるでしょう。
この理由は不明です。
しかし、統計的に明らかなのです。
タバコを吸うとき、本当は
「毎日いくつも墜落している航空会社」の
飛行機に乗っている気持ちで
吸わないといけないという事です。
落ちる確率は結構高いのです。
がん治療専門:心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
カテゴリー: 豆知識
がん検診はどれが良い?
2009/07/06(Mon)21:50
皆様こんにちは。
さて、がん検診にも
色んな臓器に対するものがありますが
どれを受けるのが良いのでしょうか?
結論から言いますと、「子宮頚がん」検診と
「大腸がん」検診は、間違いなく
受ける価値があります。
これらの有効性ははっきりと証明されています。
子宮頚がん検診を受けると、受けないでいるより
あなたが子宮頚がんで死亡する確率が
80%も減少します!
「死亡率が80%減少」というのは
本来子宮頚がんで死ぬ『運命』の人を
神様が10人選んでいたのに
そのうち8人もが運命にそわず
死なないって事です。
また、大腸がん検診を受けると
受けないでいるより
あなたが大腸がんで死亡する確率が
60%も減少します!
この2つが、受けた方が良い検診の代表格です。
次に良いのが胃がん検診。
死亡率減少効果は40%~60%と報告されています。
では、検診を受ける根拠に乏しいものは・・・。
「触診の乳がん検診」は有用かどうか
実は根拠が充分ではありません。
ただし!「マンモグラフィ」という装置による
乳がん検診はしっかり受けるべきです。
「レントゲンによる肺がん検診」も、
早期発見が難しく有用性は不明です。
CTによる肺がん検診なら
一考の余地はあるかと思います。
がん治療専門:心斎橋スリーアロークリニック
田中陽一郎
カテゴリー: 豆知識