症例報告

症例報告

◆ #1 S状結腸癌 肝、肺転移 【アービタックスの効果底上げを図る】

S状結腸癌 肝、肺転移

74歳 男性


H18年、S状結腸癌、肝転移と診断され、原発巣切除。

抗がん剤治療を施行したがH20年、両肺に複数の転移性腫瘍を確認し

転移腫瘍摘出手術施行。

その後もオキサリプラシン、5-FU等

種々の標準的な抗がん剤治療を施行。

 

しかし各種抗がん剤に耐性を持つがん細胞が出現し、

H23年1月には治療の蓄積で、強い骨髄抑制を伴うようになり

標準量の抗がん剤治療は困難となった。

 

2月、分子標的薬のアービタックスと

通常より減量したCPT-11の投与を開始し、

温熱療法などの併用を希望され当院受診。


当院での温熱療法は患者さんの体調に合わせ

体位や加温出力を細かく設定し、

なるべく身体に負担がないような工夫を心掛けている。


その後腫瘍マーカーの上昇は止まり、

血痰や喘鳴などの自覚症状も著明に改善。

現在、強い骨髄抑制を伴う事なく

小康状態を保っている。

 

 

ハイパーサーミアは、この症例で使用されている

CPT-11 という抗がん剤の効力を

増強する事が判明している。

その効果は体内で生成されるHSP(熱ショック蛋白)によって

引き起こされる。

このように骨髄抑制が強く、

やむを得ず抗がん剤を減量する場合でも

ハイパーサーミアを併用する事で補うことができる。

 

また、ハイパーサーミアは体内で

G-CSFと呼ばれるホルモンの生成を促し、

抗がん剤による白血球数の低下を防止する働きがある。

 

さらに当院では骨髄保護作用のある薬を処方し、

併用して戴いている。

 

これら総合力によって骨髄機能が厳しい状態での

病状コントロールを可能にしている。

 

 

次に、この症例ではアービタックッスという分子標的薬を使用しているが、

アービタックスは活性化したNK細胞(ナチュラルキラー細胞)と結合する事により

がん細胞を死滅させる薬である。

 

ここで、ハイパーサーミアのもう一つの作用として

体内のNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させる働きがあるので

ハイパーサーミアによりアービタックスの効果が底上げされる

考えられる。

 

今後、もしアービタックスに耐性がつき効果が薄れてきた場合、

速やかに培養NK細胞の注入を重ね、効果期間の延長を図る。


 

上記に挙げたような小さな積み重ねが

体力低下をきたした局面での治療においては

非常に重要である。





 



Sjoukettyougan.jpg

※クリックで画像拡大します。